ゲスト自己紹介(平田)6 あえて「僕がやる」ことを前面に出したわけ

平田:新潟県には素晴らしい温泉地がたくさんがありまして、その中で岩室温泉がやっているいわむロック FESTIVAL というフェスがあるんですね。元々、地元のアマチュアミュージシャンを集めて町を盛り上げようという趣旨だったんですけど、3 年目開催の2ヶ月くらい前にプロデュースをしていた方が事情があってできなくなってしまった。そのタイミングで「つづけたいんだけど平田さん手伝ってくれませんか」と声をかけてもらった。僕もそういうのをやりたかったのと、実家の山梨の身延町がものすごい山奥で過疎化が進んでいて自分が町興しをやりたいと思っていたので「ギャラいらないのでやります」と引き受けました。
僕が関わった1 年目は前の形を引き継ぎつつ違う流れになったよ、というのを表明しました。その方が自分もやりやすいし、今まで地元の方達でやっていた近い距離ならではの空気感に、緊張感とワクワク感を演出できると思ったので。ちなみにその年はオーディションをして選考して、通ったアーティストが出演するというのを2ヶ月で一気にやったんです。 初めて出演したアーティストはすごい喜んでくれた。地域の商工会の方も「新鮮で、クオリティも上がってすごく面白かったよ」って言って下さった。でも地元で元々やっていた方達は逆にあまり快くないというか、今までの方が良かったという意見が出ていて、「俺らに任せてくれないの?」みたいな感じになってしまった。僕がお手伝いした経緯なんてみんな知らないですから、そういう意見が出てしまって。せっかく地元の方が始めた催しなのにもったいない結果ですよね。それが一昨年です。それをどう覆すか、理解してもらえるかというのを 1 年間考えました。
このポスター
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は去年のものです。オーディションは廃止して、僕の視点でアーティストを選ぶ、プロデュースも僕もがやる、任せていただくという形をとりました。要は自分の責任にしたかったんです。岩室の人たちが――ではなく、僕が勝手な視点で変えるからねという意思表示をした。地元の人たちが同じ地元の人たちを嫌う空気になってほしくなかったので。
出演してくれたアーティストに楽曲を提供してもらって、無料のコンピレーションCDを1000枚つくって、新潟県内のすべての商工会に送ったり、地道にアーティスト自身に配っていただいた。そういうこともあって県内外から集客が――正確には計ってないですけど――最低でも3000人くらいは来てくれた。その前は1000とか、1500人規模だったのでかなり上がって、いちおうある程度軌道に乗り始めたかなっていう。その日、永田さんが遊びに来て下さって、すごい心強かったです(笑)。いわむロックFESTIVALは毎年9月に無料の音楽フェスということで、地元の飲食とかそういった方々にも出展いただいています。