ひとりでやっていては、仕事の幅は広がらない

永田:初めてお会いするんですけど、(参加者の)Aさんは、レーベルをやっていらっしゃいます。プロモーションの仕事をどこまでご自身でなさっているのか、どこが大変なのか、実際に金野さんのような方がいらしたときに、自分の仕事がどういうふうに変わっていくのか、可能性が広がっていくかなど、いかがお考えですか?

A:僕はレーベルを立ち上げて10年目で、レーベル業と、金野さんに近いエージェントみたいな業務を半々くらいでやっています。基本ひとりでして、それでいちばん大変なのは、プロモーションする際に「先の人に出会う」こと。ひとりで動いていると出会う人が限られてしまうんですね。最初の頃は飛び回っていたんですけど、知り合える人が限られてしまうことを痛感しまして、ここ3年くらいは、金野さんのような方の会社へアウトソーシングして、自分が弱い部分のプロモーションを依頼することが増えました。
同業種ではありますけど、やっぱり餅は餅屋というか、専門的に特化してやっている方は横のつながりもありますし、とても鋭い意見を持っている。
インディーズだと、プロモーション費用といっても、サンプル盤含めて、プレスキットをつくって郵送くらいのレベルだと思うんです。それをどれだけ活かしていけるかというのが課題なんです。細かい話をしてしまうと、アウトソーシングすると自分の取り分は少なくなってしまう。けど、この言葉が合っているかわからないですが、「損して得取れ」みたいな。目先の数万、数十万円を節約していると、なんの広がりもないんですよ。

永田:プロモーションって、そういうことですよね。

A:はい。最初はパソコン上で、エクセルを使って予算組みをして「ああ、これしか使えないかー、送るだけで終わっちゃうなあ」と思っていたんです。それで仕事をした気になっていたんですね。
「損して得取れ」というスタンスにすると、何年か後に(新しい)仕事につながることが増えてきた。何百万かけるというわけではないので、ある程度その方向へ力を入れて行きたいなというのがここ3年ですかね。