エンターテインメントの分岐点
永田:LINEの公式チャンネルはどういった経緯があって形になったんですか?
本田:脚本をやっている人に〝みちよさん、やりませんか?〟というお誘いがきて。
永田:そこでは個人レベルのオファー?
本田:はい。元々ニコニコ動画にいた人がLINEに入って、その人といっしょに働いていたことがあったらしくて、それで「コンテンツを探しているよ」って言われて。でも、もう少し良くしないといけないことがあったんだよね? ビットレートを上げなきゃいけないという話もあって。でも、ふたを開けてみたら「よくしないでいいです。携帯で観るんで」みたいな。なんやったんや?と。さらに「こんな数字だと……」という脅しもされて――。
永田:すでに(笑)。
池内:それって、永遠のテーマになりつつあるというか。企業文化というか、収益を生むことをやるのか、こういうあるものをそのまま提示して楽しんでいただいて、そのうえで何か収益が発生すればいいという考え方なのかっていうのが、今、分岐点というか。エンターテインメントの存在そのものが、タダで提供したもので最終的に利益が得られるだろうという形になりつつある。自分も俳優をやっているので、これからエンターテインメントの形ってどういうふうになってゆくのかを含めて、『MUSIC SHARE』の行方が楽しみなんです。
関口:『MUSIC SHARE』のスタッフのフォーム自体がヒントになるところがあってね。だって、出る人がスイッチングしてんだぜ? 歌う人が営業してんだぜ? 出る人が制作している。
本田:ゲストの方、すごいビックリする。「あれ、あのスイッチングやっている人、なんか観たことある」「この間、ドラマに出ていましたよね?」って。
一同:(笑)。
関口:エンターテインメントは役職を分担して、その専門家が集まってつくるのではもうないっていうね。僕なんかも、僕の話で申し訳ないけど、仮にクオリティが高いと(判断していただくのなら)、それは本職じゃないからわかったことがいっぱいあったからね。
この人(本田さん)も、俺の知っているマネージャーや営業に比べて活動量が半端ない。〝歌手って、そんなに動くっけ?!〟みたいな。本職じゃないからこそ、本職よりもすごいポテンシャルを持っている場合があって、かならずしもそれを自覚していない。そういうことが今後のエンターテインメントの方向性に絡んでいるとしたら、それは分析しづらいですよね。
ただ、逆の立場だからこそ、というのはある。自分は歌手で、出たい番組がないからこそ、それが営業パワーとして出ているんですよね。
昔は、もっと専門職だったというか。そのくせ対象の役にはなったことがないというか。そういうのが当たり前でずっときていたのが『MUSIC SHARE』を観ていると〝あんた逆じゃん〟みたいなことがある。その現象自体が、もしかするとこれからのエンターテインメントにヒントだと思うわけですよ。「だから何や?」って言われたら知らんけどさ。