ゲスト自己紹介(平田)2 オフィスで号泣した日
平田:それからしばらくはふつうの会社員をやっていました。辞めるとあまり楽器も弾かないし、なんとなくすっきりしない感じでした。
当時、僕はサンシャイン60の方の階で働いていました。窓からの景色がきれいで。電話の仕事だったので、かかってこないと1時間くらいずっとボッとする感じになっちゃうんです。
あるとき、休憩時間に夕日を眺めながらスマホをいじっていたら、D.W.ニコルズのメジャーデビュー曲(「春風」)が流れてきた。それ聞いたときに、オフィスで号泣してしまって。あ、僕はこの音楽がないとダメだなと思って、じゃあ音楽の道で何をしていこうかと考えるようになった。
それで2009年に新潟県でMUSIC DROPという音楽イベントを始めました。イベントはその前後にもやっていたんですけど、正式に始めたのはこのタイミングです。表に立つことはもう考えていなかった。裏方の仕事に興味があったし、肌に合ってそうというすごく漠然としたイメージもありました。発想としてイベントしか思い浮かばなかったんです。
今、7年目に入っています。イベントによく出てくれるアーティストの岩船ひろきさんです。(紹介する)。イベントは150回くらい、大小、いろいろなものを頼まれたり、自分でやったりしました。
MUSIC DROPは「音楽で新潟と全国を繋ぐ」というコンセプトです。新潟はバンドをやっているときに、よく通っていたという縁と、あとは単純に新潟という町が好きだったので選びました。当時は若かったですけど、第2の人生のスタートの場所としてどこかと考えたときに浮かんだので。
でも、そういう仕事が成り立つのか、まったく想像つかなかった。29、30歳くらいだったので、その選択、大丈夫か?俺?と思って。
毎月、会社の閑散期に10日間ほど休みをもらって、新潟にアパートを借りて、行ったり来たりを2年くらいしました。その間にライブハウスに通ったり、新潟のアーティストの発掘をしたり、イベントをやるためのスカウトを繰り返しました。ただ、その土地に入らないと見えない情報が明らかにあることがわかったんですね。やっぱり新潟が好きだったので、引越して腰を据えてやってみようと。会社も辞めて、ある程度蓄えがあったのでそれを元に新潟で本格的に活動を始めました。